離婚後の生活保障金の支払を受けた事例
事件はこうして起こった
専業主婦のAさん(相談者、女性)は、自営業をしている夫Bさんから、突然離婚を切り出されました。
しかし、Aさんは専業主婦であったため、離婚しても生活のあてがなく困惑しており相談に来られました。
争いのポイント
清算的財産分与
扶養的財産分与
ポイント➀ 清算的財産分与
離婚に伴って相手方から財産分与や慰謝料などとして金銭を受け取ることができることがあります。財産分与は、原則としては夫婦で築いた財産(夫婦共有財産)を、離婚に際して2分の1ずつ分けるものです(清算的財産分与)。
したがって、離婚にあたり夫婦共有財産が一定程度ある場合には、財産分与による財産給付を受けることができ、当面の生活資金を確保できます。
また、離婚の原因が相手方にある場合、一定額の慰謝料の支払を受けることができ、離婚後の当面の生活資金を確保することができます。
ポイント② 扶養的財産分与
では、夫婦で築き上げた財産はなく、離婚の原因が相手方にあるとはいえない場合はどうでしょうか。
この場合、清算的財産分与としてでも、慰謝料としてでも、相手方から金銭を受け取ることはできません。
このような場合に経済的に安定している夫(または妻)が、妻(または夫)が経済的に自立できるまでの間の生活費を負担するのが扶養的財産分与です。
事務所としての活動
今回のAさんの事例では、AさんとBさんとの間には、夫婦共有財産がなく、またBさんに慰謝料請求ができるような離婚原因が見当たらなかったため、弁護士はAさんに対して、扶養的財産分与として数百万円の請求をするようにアドバイスをしました。
Aさんは弁護士からのアドバイスを受け、Bさんに対して扶養的財産分与として、数百万円の金銭を受け取り離婚しました
担当弁護士コメント
今回Aさんが無事に扶養的財産分与を受けることができたのは、AさんがBさんと離婚する前に相談に来られたからでした。何も悪いことをしていないのに急に離婚を求められたBさんが、なんとか新しい生活に踏み出すことができたのは担当弁護士としても嬉しく思います。
離婚をしたい方は離婚届さえ提出してしまえば、後はどうでもよいとほったらかしにしてしまうこともできてしまいます。
しかし、離婚前に財産分与をしなければ離婚届に判子を押さないと相手方に伝えれば、早く離婚をしたい相手方としては財産分与をすることを真摯に検討せざるを得ません。
離婚前にはつらくても、離婚後の生活がどうなるか一度立ち止まって考える時間を持たれてください。
※プライバシー保護の観点から事案の本質(争点、判決やどのような解決したか)に反しない範囲で事実関係を一部変更している場合があります。